【花組】自由の手、愛の糸。それぞれの愛と自由を探す話「CASANOVA」感想 その2【多少ネタバレあり】

花組
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1日経った今も「は~~また観たいはよ観たい」という気持ちしかないCASANOVA。

昨日のライブ感溢れたグダグダなちょっとネタバレありな感想はこちらです(でもたいてい格好いいとか可愛いしか書いてない)。

 

www.maro-cyanin.site

 

CASANOVAは「愛」がテーマの物語ではあるものの、それに伴って「自由」も共に大きなテーマであると感じます。

本当に素敵だったので、今回はクサいタイトルと共に、CASANOVAの中の「自由」と「愛」についてちょっと語りたいなと思います。

お話の根幹部分(ミケーレ伯爵の秘密など)のネタバレはしていませんが、プログラムに記載されている「あらすじ」記載レベルのネタバレはあると思ってくださいませ。

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カサノヴァとベアトリーチェの恋

お話のメインとなるのがこの二人。

愛することは自由、愛されるのも自由。好きになった時が愛する時!といった、まさにプレイボーイ思想のカサノヴァと、好きな人は自由に選ぶけれど、浮気はダメ!愛は一途にあるもの…という現代の大多数の人が共感するであろう思想のベアトリーチェ。

この二人に共通する点は「(立場など関係なく)自由に人を愛するべきだ」というところ。

ただカサノヴァはそこからさらに自由に振っていて、ベアトリーチェは愛に振っている、という感じかな。

そのためベアトリーチェは「カサノヴァの思想(自由に人を愛するべき)は理解できるが、たくさんの女性を渡り歩くようなことは許せない」と思っています。

しかしカサノヴァはベアトリーチェと出会い、「彼女こそが運命の女性だ」と思い、いつもどおりに「好きになったから彼女を愛そうとする」ので、考え方の違いでベアトリーチェに拒絶されてしまいます。

自身がカサノヴァと悟られないように偽名を使ってベアトリーチェと知り合いますが、結婚に対して難色を見せるのも、自由にその時の女性を愛していたいと思うカサノヴァの本質があるからでしょう。

しかしどこまでも一途にベアトリーチェを命をかけて守りにきたカサノヴァと、そうさせたベアトリーチェの手紙。

ベアトリーチェはしっかりと自分で考え、カサノヴァの思う「自由と愛」を受け入れるという非常に気高いとも言える結論を出したと思います。

ここが生田先生のおっしゃる「母性的」なところなのかな、と。

自由に目を輝かせていた少女が、最後に大人の女性としての階段を登ったような、そんな印象をうけました。

ラストは宝塚歌劇HPの演出家インタビューで「ビターな結末」としていた通り、二人がすぐに結ばれてはいハッピーエンド!…というわけではありません。

しかし未来・希望をたくさん感じさせるものであり、とても二人らしい、素敵な結末だと思いました。

むしろ家に帰って布団に入ってから「そう言えば生田くんビターな結末とかいっとったな??」と思い出したレベルです。

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コンデュルメル夫妻の愛

カサノヴァとベアトリーチェの恋がメイン軸であるものの、それと同じくらい太い軸であるのがコンデュルメル夫妻の関係です。

お話が始まった時点で既にこの二人の関係は破綻しているといっても過言ではありません。

しかしながら両方がお互いに興味がなければいいのですが、夫を心から愛しているにもかかわらず、夫からの愛を感じられずに黒魔術に傾倒し、夫と交換条件をすることでしか愛を確かめられない悲しい女性、コンデュルメル夫人。

ひとときカサノヴァとの関係はあったものの、彼も彼女の元を去り、また虚しさだけが残っている…という、このお話の中で一番悲劇的な立場から始まる女性です。

対してコンデュルメル(アントーニオ)は、もともとは妻を愛していたのでしょう。しかし野心がある、自身が素晴らしい貴族であることをアピールしたい、そうしないとダメという固定観念があるのか、貴族の女性(ゾルチ夫人)を愛人にします。

しかしゾルチ夫人に振られ、彼女はカサノヴァの恋人となります。

それを知ったコンデュルメル(アントーニオ)は激昂し、彼を捕らえて異端審問にかける…というのがお話の始まりともなっています。

この夫妻は本当に悲しいほどにすれ違い続けます。どっちも言葉が足りない。

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これは夫人を演じる鳳月杏さんも仰っていましたが「現代にもよくあること」です。

夫への愛を歪んだ形でしか表現できない、そうしないと怖い、繊細な心の妻と、その妻を本質的には理解しているだろうに跳ね除けてしまう夫。

彼の愛が自分にはないと決定的に(彼女にとって)見えてしまった時、彼女はひとつの決断を下します。

その決断は、彼女の元恋人の活躍によって事なきを得るのですが、その時のコンデュルメル(アントーニオ)は心から妻を理解し、愛していました。

それまで名前を呼ばなかった彼が、妻の名前を初めて(劇中で)呼ぶのです

とても彼女によく似合う、キレイな名前なんですよ…。

彼らの「愛」は重く、色々なものに縛られて「自由」がなかったのかな、と思います。

しかし色々なしがらみがとけて自由になった時、お互いを改めて理解できた、愛し合うことが出来たのではないかな…と。

正直コンデュルメル(アントーニオ)さんはお笑い担当だと思っていたので…いい結末でよかったなと思っています。

他にもたくさんの恋がある!

軸となるのはこの2つの恋と愛ですが、他にも自由に恋を楽しんでいる人たちが多いのがこの作品。

例えばカジノの場面で、モーツァルトを探しにコンデュルメルが来るのですが、そこにはカサノヴァも居合わせていて、皆は「隠さなきゃ!」と必死に。

コンデュルメルの芸術に対しての言い分に思わずカサノヴァが反論しようと出て行ってしまい、それをごまかすために城妃美伶さん演じるアンリエットがカサノヴァに思いっきりキスをする…という楽しいシーンがあります。

(また、それに「お、おう…」となるコンデュルメルさんも面白いです)

さらに面白いのがその後、カサノヴァが「なんだキスしたかったのか」とでもいいたげに何度もアンリエットと後ろの方でずっとちゅっちゅしてること。

まさに世界の恋人…!!(アンリエットとも恋人関係の時期が多分あったんだと思います、セリフの流れ的に)

 

ベアトリーチェの親友・姉妹とも言ってもいいような関係の侍女ダニエラ。

彼女も実は恋をしています。そのお相手は…ぜひぜひ劇場で。

 

また、資産家のコンスタンティーノ。コンデュルメルによってベアトリーチェの婿候補として祭り上げられますが、彼も最終的にはベアトリーチェではなく別の女性を選びます。

その成り行き(きっかけ)も面白く、ラストの展開も非常に笑えるものなのでぜひぜひこちらも劇場でご覧ください。

流石にこのあたりを公演から2日目くらいでネタバラシするのはいかがなものか…と思いますので。10日くらい経てばいいよね。

 

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