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宝塚歌劇団の観劇備忘録や初心者さん向けの記事を気ままに。

【花組】蘭陵王(梅田DC)の感想を今更ながらこのタイミングで…【ネタバレあり】

日本全土に寒波が押し寄せてきていますが、皆様御機嫌いかがでしょうか。
私が住んでいるのは盆地なので、非常に寒くてたまりません。

さて、今回は既に公演期間が終了しております、専科の凪七瑠海さん主演の花組公演(ちょっとややこしい)「蘭陵王」を11月25日観劇しましたので、感想をさらりと書き残しておきたいと思います。

花組公演蘭陵王パンフレット

Twitterでは軽く感想を書いたのですが、やはりきちんと形に残しておこうと思いまして。細かい部分など間違っている可能性は非常にありますが、ご了承いただけると嬉しいです。

…と書いていましたらほってぃー(帆純まひろさん)の新人公演主演が決定!めでたい!

まとまってて観やすく、ラストがスカッとする個人的良作

全体の感想としまして、まずいいたいことは「蘭陵王、面白かった!」ということ。

一本物なのでお話はまあ基本まとまってるやろ!というツッコミは受けそうですが、風呂敷を広げすぎず、かといってすごくミクロな話でもなく。

わかりやすくお話が展開し、そしてラストはスカッとする…観終わった後にスッキリと「面白かった~」といえる作品でした。

もちろん途中で「ん?」となるポイントがゼロだったというわけではありませんが、それはもうどんな作品でもあるじゃん…ということで、個人的に気になる範囲ではなかったですね。

登場人物が少なかったのもわかりやすいポイント

この作品、メインとなる登場人物はそう多くありません。

すごい雑な言い方をすれば、蘭陵王と洛妃、高緯と逍遥君の名前程度を覚えていればあとは大丈夫!!というくらいシンプルです。

もちろん蘭陵王自身の史実など知っていればさらに深く楽しめる要素もありますが、前提知識がなくても楽しめる舞台でしたし、登場人物が少ないことでそれぞれにフォーカスしやすく、お話もわかりやすくなるので個人的には○、でした。

賛否両論あった?少々辛いシーンに関して

蘭陵王の幼い頃や洛妃がスパイの訓練を受けているときなど、人によっては少々つらいと感じるシーンがあります(特にお話の最初の方は、観ている方が痛ましいと思ってしまうのではないでしょうか…)。

これについては賛否両論あったようで。議論が起こるのはいいことです!

私も観ている時はかちゃちゃん(凪七瑠海さん)の歌声も相まってとても痛々しくて、「もうナレベ(ナレーションベース)でいいじゃん…」と思いましたが、それがラストへの伏線につながっていくので、なるほどな~と…。

また、二人の共通の痛みということでもありますから、痛々しいという意味でも印象に残ってはいるものの、お芝居を観終わった今では清々しささえ感じてしまうシーンでもありますね。

ふっと笑えるシーンがあったこともポイントかなと

蘭陵王のストーリーそのものは重い内容です。

「いらない子」として捨てられ、生きるために強者の慰みものとして生きていくしかなかった彼が、実は皇帝の血を引くもので、宮廷入りし武功をあげるも、

顔がキレイすぎて馬まで止まってしまうから仮面をかぶらないといけないし、嫁候補の娘さんは敵国のスパイだし、イケメンすぎて庶民にまで知れ渡っちゃうからって顔を溶かそうと企みを企てられるし、高緯が皇帝になれないのではないかと勝手に手を回されて毒殺されそうになるし、その企みを暴いたら自殺強要罪みたいな感じで毒飲んで死ぬ刑を与えられるし…

と、お話としてはハードな部分が多いですよね。かなり雑に書きましたが苦労人半端ない。

しかし「なんかずっしりして暗い感じだった…」ということにはならず、重すぎず軽すぎず、ないい塩梅に着地していました。

それはたまに差し込まれる「ふっと笑えるシーン」かな、と思います。

あきらお兄さん(瀬戸かずやさん)演じる高緯の初登場シーンはもちろん、彼の出演シーンは基本笑いが起きていましたし、ラストでも「ふふっ」と笑えるシーンがあり。

あとは非常に個人的な笑いのツボが、澄月菜音さん演じる盗賊や、航琉ひびきさん演じる村長?首長?が蘭陵王を品定めしているときの「う~~~ん…」というセリフ。

私の中ではもう(とんかつ)KYKになっておりまして、今でも思い出すだけで笑ってしまいそうになります。

蘭陵王がお馬さんに乗るとこもちょっとおもしろかったけど…まああれは伝統芸感があるので…。

舞台装飾・衣装・音楽も良かった!

あとですね、舞台装飾や衣装などもすごく素敵でした。

中でも一番好きなのは舞台装飾!天井から吊るされている布?かな?と、床に敷かれているシート?のそれぞれに細かく装飾がされていて、もう「まさにこの時代のお話です!!」とわかりやすいです。

大きなセットを使わずとも、小さめの必要最低限のセットでここまでキレイに魅せられるのだな…と思いました。

お衣装も素敵でしたし(役によっては衣装があまり変わらない方もいますがこれは仕方ないですね)、音楽も…劇中曲ももちろんですが、やはり東儀秀樹さんが作曲されたフィナーレの曲は本当によかったです。

京劇のお衣装もかちゃちゃん、くりすちゃん(音くり寿さん)おふたりとも似合っていて、いわゆる宝塚のデュエダンではありませんが、荘厳で素晴らしかったです。

ストーリーについての感想

ストーリー部分についての感想です。

幼い頃の蘭陵王が皇帝の血を引く少年だと言うことがわかり、宮廷で皇太子(のような身分)として生きる事になります。

少年時代は一言で言えば「悲惨」ですが、皇帝の子とわかってからのサクセスストーリーは非常に気持ちよく、悠真倫さん演じる将軍「斛律光」と、舞月なぎささん演じる、蘭陵王の剣の先生「段韶」との強い信頼関係がとてもいい味を出しています。

武功に対する褒美として、土地と20人の美女を与えられる蘭陵王ですが、御本人は特別誰かを娶る気がなく、愛らしい美人さんたちを次々と「イラネー!」していく中、くりすちゃん演じる「洛妃」のみをそばに置くことを決めます。

洛妃は敵国(名前忘れました…)の間者で、蘭陵王を殺しにきた人物。

早々に洛妃が間者であることを見抜くのですが、その理由が個人的に好きで。

「挨拶の形がキレイすぎる」というものだったのですが、自身も昔から宮廷にいた人間のように振る舞うために大変な努力をしたという背景が活かされていて、説得力がありました。

その後なんやかんやあって、最終的に高緯は皇帝になるものの、愛する恋人の逍遥君は死に、蘭陵王を八つ当たり(といったら悪いんですけども)で極刑にしちゃうわけで。

蘭陵王は「しゃーなし」つって受け入れるのですが、洛妃は遠くから彼に対して心からの言葉を送ります。「死んでほしくない、愛している」と。

その言葉を(読唇術で)聞いた彼は、「死ぬのやめた。くだらん」といってその場から脱走しちゃいます。

その時にまたまりんさんとふじもんの二人が協力するんですよ~~これがいいんですよーーー熱い!!!めちゃめちゃスカッとしました。

ラスト、名前を捨てて農民として生きる二人のなんと清々しいことか…。

もちろん1幕、2幕ともに面白かったですが、このラストは個人的に「ええもんみたなあ…」としみじみと感じました。

キャスト別感想をちまちまと

 駆け足ではありますが、続いてキャスト別の感想をちまちまっと書いていきます。

凪七瑠海さん(蘭陵王)

専科に異動してからの初主演作品に蘭陵王…似合ってます似合ってます!

当然蘭陵王の顔は知らないんですけれども、所作や纏う雰囲気にとても説得力があり「この人蘭陵王だわ」ってなります。

少年時代の高めの声、青年になってからの低い声どちらもとっても通りがよくて聴きやすく、変わらず歌もお上手です。

非常に体が細い方なので、スーツなどを着ると細さが目立ってしまうところがありますが、今回の作品は鎧など装飾が多いものや、ふんわりとしてラインが見えづらい服装が多かったので、細さを感じさせませんでした。そう見せないオーラの大きさもめっちゃありましたが。

歌いながらの殺陣や、ヌンチャクさばきも見事!

剣2本をクルッと回して後ろの敵倒すのは「ゲームみたい!」と思いましたが、格好よかったです。

艶があり、美しく格好いい蘭陵王に本当にぴったりでした。

音くり寿さん(洛妃)

くりすちゃんもめちゃめちゃうまかったです。素晴らしい、素晴らしい!

なかなかメインヒロインというポジションを与えてもらえなかった娘役さんですが、しっかりとその立場をこなしていたといえるのではないでしょうか。

お歌はもちろんですが、蘭陵王との対決シーンの軽やかな動きや、蘭陵王が刑を受けるときのあの切ない表情、彼を愛してしまったことへの戸惑いなど…

繊細なお芝居も観ていてとっても素敵でした。

あとラスト、農民になってからの「もう唇は読みません!」がめっちゃ可愛い!!!

今後、実力がありますから(トップになる前の)ゆきちゃんポジションになっていくのかな…とも思っていますが、本公演でももっともっと活躍させてあげて欲しい娘役さんです。

フィナーレのデュエダンのお衣装もお人形さんみたいに可愛らしくて…(袴とか大きいので…)でもキビキビっとメリハリあるダンスは流石でした!

瀬戸かずやさん(高緯)

実はそんなに出番がないあきらさん。なのにどうしてこんなにインパクトが!!?

毎回歌って出てくるから!?…という冗談は置いておきましても、確かにインパクトがあるキャラクターではあったものの、その実素直で本当にただ乙女なんですよね

彼氏とみたこと無い海をみてみたい!彼氏とずっと一緒にいたい!戦いはキライ!

それだけなのに、周りが勝手になんやかんやして皇帝にはなったけど、何もたのしくなーい…そんな可愛い乙女です。

それを花組きっての男らしい男役、瀬戸かずやがやるのが面白みといいますか、先生すごいですね!という。

蘭陵王が手合わせをしている時に後ろで逍遥君とイチャついているのですが、ハンカチで汗をふいてもらっていて可愛かったです。

つねに「きゃっ☆」な感じで…乙女ってこういう人のことを言うんだろうなあ…

その分フィナーレでめちゃくちゃ男らしいところを見せてくれましたね。やっぱり花男!

帆純まひろさん(逍遥君)

こちらも実はそんなに出番がない彼。

とはいえやっていることのインパクトは大きく、高緯を皇帝にするために蘭陵王が邪魔になると考え、自分の姉との婚姻の席で毒死を企てるというなかなかのハチャメチャボーイです。

企みがバレたら突然「なによ!」っていい出して「ピーコかよ!」となりましたけど。

出番はなけれども、ほってぃーは非常にお芝居心がある方なので、目線ひとつの送り方も非常に丁寧です。

どうしてここまでこじらせたんだと思わなくはないですが、高緯を皇帝にしてあげたいという純粋な愛情もわかりますし、ピーコ化(こんなん言っていいのか)してからの豹変ぶりもなかなかのものです。

個人的にお歌がもうちょっと…!という感じなので、次の新人公演でしっかりりおちゃんから色々と吸収してぐんぐん伸びてほしいなと思います。

他にも本当にひとことだけですが…

悠真倫さん(悠真 倫)&舞月なぎささん(段韶)

ストーリーの感想のところにも書きましたが、本当にこの二人と蘭陵王の関係が大好きで、武人だからこその信頼といいますか、「言葉より剣で語ろうや!」みたいなところがとってもよかったです。

逍遥君の企みを暴くときも、蘭陵王は二人に対して「巻き込みたくないので手を出さないでください」と言っていましたし、お互いに尊敬の念のようなものもあるんですよね。

そしてラスト、逃げる時は何も言わずに助けてくれる…これがいいんですよ!!(こういう関係めっちゃ好みなんです

蘭陵王という舞台をぐっと締めてくれる、頼れるお二人だったと思います。

京三紗さん(語り部)

この方の「描かない部分の語り」によってストーリーがわかりやすく紡がれていました。

すっと耳に入ってくる優しい声。語らずとも袖にいる時の美しい姿勢など、まさに宝塚の専科と言える方だなと改めて感じました。

公演をみるまでは「本当にただのストーリーテラーなのかしら」と思っていましたが、最後に蘭陵王の母と明かすことによって「はぁ~なるほどねぇ~!」と膝を打ちました。

花野じゅりあさん(広寧王の妻)

じゅりあ姉さんも語り部としての登場です。

戦の場面の語り部でもあるからか、京三紗さんとは対照的に力強く声を響かせていました。

本当に古代中国におられたのではないでしょうか?」と聞きたくなるほどの美しさと、強いトーンで通る声は出番こそ少ないながらも、しっかりと印象に残る「演技」だったと思います。

他にも他にも

圧倒的な美しさで、こちらも「古代中国、おられましたよね?」と聞きたくなるこりのちゃん(美花梨乃さん)や、個人的に今可愛くて目がいってしまうのあちゃん(桜月のあさん)、最下級生ながらも頑張っていたはくとくん(珀斗星来さん)やリリーちゃん(青騎司さん)などなど…

最下級生から上級生までが細かく役替りしながら、少人数での舞台をしっかりと勤め上げていたことは本当に素晴らしいと思います。

この経験がきっと次の本公演につながるでしょうから、これから2月が楽しみです…!

 あとがき

というわけで、今回は1回にぎゅーーっとまとめて「蘭陵王」の感想を残しました。

大変文章が長くなりまして申し訳ございません…。

1ヶ月ほど前の観劇ですが、やはり印象が強いと色々と覚えているもので、蘭陵王が洛妃に牡丹の髪飾りを贈るシーンなど、心に残っているところがとても多い公演です。

叶うならもう一度生で観たい!と思える作品でした。

映像化はされないようですし、早めにスカステに来るかなと期待して…。