【花組】「元禄バロックロック(2021.11.12)」感想|現代的な画で繰り広げられる、タイムリープロマンス(ネタバレあり)

花組
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11月12日に、花組公演「元禄バロックロック/The Fascination!」を観劇してきました!

ポスター画像が素敵すぎて、一体どんな世界観になるんだろう?とワクワクされていた方も多かったのではないでしょうか。

私ももちろんその一人で、かつ演出の谷先生の作品が好きなこともあり(「アイラブアインシュタイン」も「出島小宇宙戦争」も大好きです!)、かなり期待していました。

お出しいただいたのは、華美な(バロック調…?)世界で彩られたタイムリープ・ロマンス。

個人的には佳作?といったところでしょうか……期待していただけに、もうちょっと何か欲しかったかも?と惜しさを感じる一作でした。

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世界観○、ヴィジュアル花丸

まずはいいところからガンガン褒めていきますよ~!

我々の知る「江戸」と似ているけれどどこか異世界、遠くの星の「エド」を舞台とした今作。

既に文明も半ば開花しているような(鎖国がない設定だったはずなのでそりゃそうか)、非常にヒドい言い方をすれば「トンチキ和装」なキャラクターたちがガンガン登場するわけですが、私はそんな衣装も世界も大好物。

セットも時計を基調としたネオ・和風に統一されていて、これまた下品な言い方で申し訳ないんですけど「お金かかってるね~!」と感じる豪華さ、華やかさは「宝塚観に来た~!!」と実感できるポイントのひとつなので、満足度が高いです。

照明もピンク・紫系が多くて妖しい雰囲気が出ていたり……と、独自の世界観の演出が素晴らしく思えました。

そして、主演のれいちゃん(柚香光さん)をはじめとした、出演者のヴィジュアルもこれまたよいですね~~~!!

個人的には、まどか(星風まどかさん)演じるキラの、着物をパッチワークしたお衣装がとっても可愛くてお気に入りです。ちょっとゴルチェっぽい。

衣装どうこうって話とは違うんですけど、クロノスケがキラを受け入れる際のラブシーンで、れいちゃんが右足を踊り子の娘役ちゃんの手に乗せる振り付けになってるじゃないですか。

あそこは非常にセクシーでよかったと思います。一番印象に残ってるといっても過言ではない。

あとは、ゆーなみくん(優波慧さん)のヨシヤスのビジュアル!あれめっちゃいいですね。

一人だけ帽子だし、ストレートロン毛で結んでいなくて、かなり異質感があるんですよね……キャラとしても美味しい立ち位置ですし、最後にいいお役をもらったね!と嬉しくなります。

他にもたくさん素敵な方々がいらっしゃいますね!ツナヨシもめっちゃ好きです。きゃわ!

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ストーリーはシンプルなタイムリープ系

ストーリーについて言及していきますと、タイムリープの王道感があるな!という感じ。

キラがクロノスケを助けるために何度もやり直すとか……オタクとしては「シュタインズ・ゲート」や「魔法少女まどか☆マギカ」を思い出しますね。

キラのことを「ほむらちゃん!!」って思いながら観てた

前半ではキラがどうしてこんなにクロノスケにこだわるのか、その理由が明かされていなかったので「謎パワー恋愛なのか?」と思いましたが、きちんと理由が掘られているので納得できました。

(今の)クロノスケがキラに対して「どうしてそんなに寂しく笑うのか」と問いますが、過去ではキラがクロノスケに対して同じことを言っているなど、ちょっとした台詞回しにも「おっ」と思わせる遊びがあったりと、見逃せない部分も多いなと感じます。

なぜタクミノカミがコウズケノスケを斬ることになったのか、といった理由もしっかり解明されるので、「ここって結局なんやったんよ?」とならないスッキリさは非常にいいなと思いました。

ただ、ラストにおえらいツナヨシ様の力を借りたのは、ちょっと「CASANOVA」を思い出してしまいましたが(笑)。

ただ、タイムリープものがあまり好みでない方は、ちょっと退屈に感じちゃうかも?

お話自体はとんとんと進んでいきますが、リズムの緩急が強いわけではないので、そこも好みが分かれるかもしれませんね。

若手の躍進にも期待!一方……

今回は、若手の子たちも結構前にでてきている印象がありました。

ストーリーテラーであり、「忠臣蔵」を引き起こす人物でもあるタクミノカミを演じた、ほのかちゃん(聖乃あすかさん)。

出番こそはそう多くないものの、きっちり自分の出どころを持ったヨミウリを演じた、らいとくん(希波らいとさん)。

最終的な計画のキーパーソンであり、出番も多かった美咲ちゃん(星空美咲さん)。

この3人はしっかりと出番があり、今後の花組を担っていくのだろう……と感じさせる配役だったなと思います。

が、一方で中堅どころの出番がちょっと薄かったようにも思えます。

つかさ(飛龍つかささん)とかね。

本公演は人数が多いので、ある程度出番の差が出てしまうのは仕方ないものの、もうちょっと中堅たちにスポットライトが当たってもよかったんじゃ……!

書いてて思い出したんですけど、期待の若手でもだいやくん(侑輝大弥さん)はそんないい役付きじゃなかった気がする……。

まれちゃん(涼葉まれさん)はちょっとれいちゃんと絡むシーンがあって「よっしゃ!」となりました(ラッキーこいこいで絡んでくる男の子です)。

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クリアなクラノスケ、見えないコウズケノスケ

れいちゃん・まどかの新体制になってから、マイティー(水美舞斗さん)とひとこちゃん(永久輝せあさん)をニコイチで使う方向にしたのでしょうか。

ショーはもちろんなんですけど、お芝居でも対になっている印象を持ちました。

敬愛する殿、タクミノカミを失い、故郷も失ったクラノスケ。

一見賭場で遊んでいるように見せかけつつも、その心は「コウズケノスケへの復讐」で一本芯が通っており、行動原理もそれに基づいたものになっていて、非常に目的と行動がクリアなキャラクターです。

対してコウズケノスケは、自身がのし上がるために、タクミノカミが設計した「時を戻す時計」を手にしてエドを制圧し、他国に負けない富国強兵を考えています。

……が、実はツナヨシの母、ケイショウインとは昔恋仲という過去があり、出世のために彼女を将軍家に差し出したことを後悔している一面も。

「時を戻してあの時の決断をなかったことにしたい」という旨も語っており、「ただ自身の出世のために大きな力をふるいたい男」という表面がありつつも、「過去に愛した人を手放したことを公開している男」という裏面も持っており、複雑な人間性が感じ取れるキャラクター造形です。

マイティーは昔であればクラノスケを演じるようなタイプだったのが、コウズケノスケを演じるようなところまで来たんだな……という「大きくなったなあ」という気持ちもあり。

(「歌劇」の座談会にて、谷先生はどうしてもマイティーにこういう感じの役をやらせたくなる、と仰っていましたが)

個人的には、ついマイティーには期待ゆえに厳しく見ちゃうんですけども、もっと毒を出してもよかったんじゃないかなって思います。

座談会でも言っているんですが、明確な敵役はマイティーのコウズケノスケ一人だけなんですね。

なので、もっとあくどくていいし、もっと欲にまみれてていいし、もっと色気を出してほしい。

銀ちゃんの恋」で見せたような、ハチャメチャパワーをもっと本公演でも見たい。

まだ公演が始まって1週間なので、今後変わる可能性も十分に考えられますが……今後の観劇で注目していきたいなと思っています。

現代的な画づくりも楽しい、華やかな一作

ちょっと(どころではなく)偏った感想になってしまいました……が、私の第一印象はこんな感じでした。

場には組子の皆さんがたくさん出ているシーンも多いため、小芝居が好きという方にもおすすめではないでしょうか!

映像も多く使われていて、非常に現代的な画づくりになっているのもポイントかなと思います(このへんは、好き嫌いが分かれるところかもしれませんね)。

力が入っていることは確かなので、ちょっと気になるな……という方は一度観劇してみてもいいんじゃないかな?と思える作品でした!

 

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