月曜日には月組さんも大劇場公演が千秋楽…早いですね。
千秋楽はライブビューイングに行く予定なので、それに合わせてキャスト別感想をかければいいなと思います。
…そういえば花組さんもまだ書ききれてなかったんですよね!やばい!
ということで、今回は花組さんのキャスト別感想、非常に今更感ですが。
あくまで大劇場公演を観たときの感想となりますので、東京公演の印象とは違うかもしれません。
柚香光さん(コンデュルメル役)
これまでのトップ・明日海りおとの関係の中では珍しく、しっかりとした敵の立ち位置。
とはいえ、そもそも明日海体制のときは2番手が明確に敵になるようなお話は少なく、味方であることが多かった印象があります。
前2番手、現在宙組2番手の芹香斗亜のときも、明確な敵の立ち位置であったのは彼女の花組生としての最後の本公演「邪馬台国の風」ぐらいではなかったかと思います。
しかしながら敵といっても憎み合うようなものではなく、コンデュルメルが一方的にカサノヴァを憎み、空回りとも言えるくらい奮闘しているので、対等なライバルというよりはカサノヴァにあしらわれている小物っぽい悪役、憎めない悪役といった印象です。
彼女はコメディが似合うと思う
多くの方が感じていることでしょうが、柚香光にはコメディが似合う!と思います。
シリアスが似合わないというわけではないのですが、コメディのほうが本人の人柄がちょっと出るような気がして。
あの派手で整ったお顔を思いっきり歪ませているのはなかなかの見応えがあります。シリアスですとあそこまで歪ませられない…ですよね。
公演期間が過ぎていくごとにどんどんとアドリブが濃くなっていく印象もありました。
絶対初日より顔歪んでるよね。
「自由な男」と「自由ではない男」
今回のお話、コンデュルメルは権力を振りかざし、自分の思い通りにしようとしますが、ことごろくカサノヴァに邪魔立てされてしまいます。それこそ指を虚空に向けて突き刺す(違)ほどに。
これは個人的に「自由な男」であるカサノヴァと、自身は権力をとれば自由であると思っているけれど、実は「自由ではなかった男」の対比なのかなとも思っています。
世間的にはコンデュルメルのほうが地位もありますし権力もある。
彼の鶴の一声でカサノヴァを626年間も牢獄に落とすことも可能です。
しかしながら彼はあくまで「貴族社会」と、それが作る「秩序」に非常に縛られており、自由ではない印象を我々に与えます。
カサノヴァは自分の中の自由を信じて進みますが、コンデュルメルは一見自由に見えても自分の作った秩序の中に縛られている。
だからこそカサノヴァが眩しく見えますし、そんな自分がイヤだからこそ、その感情が憎しみに変わってしまう…といった印象を受けました。
鳳月杏さん(コンデュルメル夫人役)
コンデュルメルのもうひとつの対の存在となるのが妻であるコンデュルメル夫人。
配役が発表された当初は「ちなつちゃん(鳳月杏さん)、花組最後なのに女役なんて…」という否定的な反応でしたが、幕が開けばその反応も大逆転。
その佇まいからハイトーンボイスのパワーなど技術も合わさり、観客から大喝采を受けることに。彼女にとっての当たり役といってもいいのではないでしょうか。
立ち位置が難しい難役
とはいえ、この役は非常に立ち位置が難しい「難役」だったと思います。
というのも、御本人もインタビューなどで語っている通り、彼女が接する人間はごくわずか。主に夫であるコンデュルメルで、あとは多少ゾルチ夫人やコンスタンティーノと接するのみ。
その中でカサノヴァと元恋人関係であったことを匂わせ、さらに(今回の騒動の関係者の一人として)強く舞台に影響を与える存在でいる必要がある。
ベアトリーチェやバルビとは一切絡みないですもんね、ほんとに。最後まで。
しかしそのような難しい役をさらりと涼しい顔でこなしてしまうのが彼女のすごいところ。相変わらず贔屓の言葉を拝借すれば「自信を持って月組に帰せる」という言葉は決してお世辞ではなく、心からの称賛なのだと感じます。
切ない女性の心を巧みに表現
美しいものをそのままに留めておきたいというのは万人ちらりとは思ったことがあるところですが、それを実際に実行する、そして自分が好きな(気に入っている)男性もそうしたいと思うのは非常に危ない思想ではありますが、それは単純に夫の心を惹きたいだけのものなのでしょう。
御本人も様々な場所で語っていますが、「愛してほしい」というシンプルな願いを相手にうまく言えないだけで、非常にこじれた手段でしか愛情を示せないだけなのです。
ただそれが夫にスムーズに通じるわけもなく、さらにこじれてしまう。
規模はともかく、それは私達にも当てはまること、絶対に今後経験することはない…とは言い難いことでしょう。
人と人が信じあい、通じ合うのは本当に難しいこと。
自分でもそれがわかっているけれど、憎まれ口しか返せず、最終的には「お前と結婚していなければ」とまで言われてしまう。
そんなことを言われたら、ベアトリーチェなんてショックというより一発食らわせているようなイメージがありますが、ロザリアはそうではなく。
「せめて人形でもいいからそばにいたい」という痛々しいまでの愛情を夫に持っています。
言葉(セリフ)として放たれた愛の言葉なんてありませんが、その表情や行動で、こちらの心が痛くなり、つい「コンデュルメルおめー殴りにいきてえわ」と思わせてくれるほど。芝居巧者だなと改めて感嘆させられました。
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