【花組】「CASANOVA」超今更キャスト別感想:1(明日海りお・仙名彩世)

花組
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これまで初日からいろいろぐだぐだと書いてまいりましたが、「そういえばキャスト別感想ずっと書いてなかったわ…」ということで、大劇場千秋楽目前ですが…まあ、まだ東京公演もあるから…という感じでキャスト別感想に入っていきたいな、と思います。

非常に長くなりそうな予感ばかりがしますが、お付き合いくださいますと幸いです。

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明日海りおさん(ジャコモ・カサノヴァ)

稀代のプレイボーイ、1017人を抱いた男…26~7歳(設定)! 

…というキャラクターでありまして。
なんというのでしょう、本来であれば「こんなん(設定)盛りすぎやろがい」と言いたいのですが、現実そのような人が居たもんだから大変ですよね。

少年性が輝く役じゃないかなと思う

私が考える明日海りおさんの魅力のひとつが「少年性」だと思っていまして、大人の男性を演じていてもどこかそこにピュアなもの、少年のような輝きが見える部分が非常に好きなのですが、カサノヴァは大人の(色気ある)男性という一本筋をしっかりと通しながらも、その行動や女性と対峙した時の表情などから少年性が垣間見えて、「ああ、この人はモテるだろうな…」と思わせる説得力があるように感じました。

 

だって宮殿に忍び込んで窓から入るとかどうみてもクソガキの発想でしょ(暴言)

あそこのシーン、女官たちは最初「あいつだ!」みたいに怒っているのにカサノヴァをひと目みたら「あっ素敵…」と即陥落しちゃうところがほんま好きです。

「カサノヴァ」に対して思うこと

これは「カサノヴァ」というキャラクターに対して思うことですが、彼にとっては女性との恋は当たり前のことで、自分がモテるからといって調子に乗らないといいますか、それに奢るような印象を受けません。

もし恋人に他に好きな人ができても「その人が君を幸せにしてくれるならいいんじゃない」と、恋人の幸せのために手放すようなイメージがあります。

だからこそ、カジノの場面でも元恋人がたくさん出てきますが、女同士で争うようなことにもなってないのかなーとか思ったり。

「素」っぽく見えるところも好き

あとですね、私はりおちゃんは非常にひょうきんな方だと思っておりまして。

「素っぽい」ひょうきんな部分がカサノヴァにも結構出ているように感じて…コメディだからこそかもしれませんが。

ベアトリーチェとの結婚するしないのやり取りなんかは結構素っぽさを感じてしまっています。あのシーン大好き。

ビジュアルがめっちゃいい

あとこれですよ。ビジュアルがめっちゃいい。

イタリア!中世(?)!ってなるとある程度髪型やらなんやらイメージが似通ってしまう部分がありますが、カサノヴァのビジュアルはめちゃくちゃいいですよねほんとうにいい。

髪型も髪色もうまいことフィクション・ファンタジー感があって格好いいですし、衣裳も現代的な要素が入っているとプログラムにて有村先生が語っていたこともありオシャレ。

多分カサノヴァの服だけ時代的には浮いてるんでしょうけど、それが気にならないのがすごいです。

脱獄後最初のお着替えではすごい色味でびっくりしましたがまたそれが可愛いし、よくあんな色の着こなせるもんだな…とタカラジェンヌの強さを改めて感じました

歌もいい

今回本当にたくさん歌ってますよね…。

しかしどれもこれもが素敵なので、好きな曲選べない!!選びづらい!!

初日付近では「自由に生きて、強く死ね!」一択だったんですけど最近は2幕のゴンドラでゆきちゃんとデュエットする曲がめちゃくちゃ来てます…。

 

しかしこの長い公演期間で、あれだけ歌っているのにキレイに歌いきっているのは本当に流石です。

今月号(3月号)の歌劇にて「ホフマン物語で喉を潰してから、今の発声にするまで3~4年かかった」と言っていましたので、そういったたゆまぬ努力の賜物なのだなあと改めて思います。

まっすぐ過ぎてあんまり感想が出てこない

ここまで書いておいてなんなんですけど、カサノヴァって行動原理がすごく明確なので、「なんでこんな行動を取ったんだろう?(考察)」という部分においては非常に薄いキャラクターだと思っています

 

とはいえそれがイコール薄っぺらいキャラクターというわけではなく明確なので彼の行動に疑問を持たない(持ちづらい)という印象。

言葉足らずなこともなく、一本筋通ったキャラクターなので単純に「ステキ!カッコイイ!」を貫ける役とも言えそうですね。

もちろんそこから深い考察をされる方もいるのでしょうが、私はこういった薄いものしか書けないのでありました。悲しい。

ちょっと主旨から外れますが

個人的には好きですこういう役。というのも、最近私がちょこちょこ目にする「明日海りおは悩ませる役やらせてなんぼ」みたいな風潮があまり好きではないので。

もちろん清様やギィみたいな「陰」の役は彼女の真骨頂であり、やらせりゃピカイチであることは間違いないでしょう。「これぞ明日海りお!!」という感じにもなるでしょう。

 

でもそればっかりしてほしくないし(最近そういった役から離れているからそのような声が多く出ているのだろうなとも想像できますが…大海人皇子もよかったですしね)、もっともっと彼女の新しい側面を見てみたい…と思うので、思いっきり「陽」に傾いたカサノヴァも大好きです。

一番好きなのは田舎出身繊細ジャックナイフのザックです。

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仙名彩世さん(ベアトリーチェ)

本公演でも別箱でも、どちらかと言えば「耐える女」といった印象が強い役をしてきたゆきちゃん。

ラストとなる公演で、「耐えてなんていられるか!!」と本来の強さを遺憾なく発揮している印象があります。

「Delight Holiday」で新基軸の魅力を発揮してきた彼女が、そのパワフルな魅力を公演でも出せたのは本当によかったなあと思いますし、観ている方もとっても楽しいので嬉しいです。

「現代的」な感覚を持つ女性 

私が彼女に一番最初に抱いた印象は「現代的」でした。

修道院で啓蒙思想の本を読み、貴族の生き方に疑問を抱いている、非常に先進的で現代的な女性と言えるのではないでしょうか。

 

また、結婚は「愛する人とするもの」であり、さらに「浮気はダメ!」という考え方。これまためちゃくちゃ現代的といいますか、私たちと似たようなモラルを持っている。

彼女の恋愛観・結婚観は当時の貴族たちには理解できませんし、カサノヴァとも違うもの。

だからこそ、彼女の目を通じて見ることでどっちも「モラル的にどーなん?」という疑問が生まれてくるようになっているのかな~と思いました。

猪突猛進なところがまた可愛い

行動力がある人は好かれますが、行動力がありすぎる人は好かれないこともあります。

ベアトリーチェは後者のスレスレ…といった感じでしょうか。少なくとも貴族からしたら「ありえない」タイプですよね。

 

しかし、めちゃくちゃかわいい

 

わくわくしてベネツィアに来たものの、来た途端に知らんやつと結婚させられそうになって「さよ~~な~~ら~~」って歌うところ、なんで笑いが起きないの!と思うくらい笑っちゃいそうになるシーンなんです。なんて素直な子なんだろう!と。

メロディもこれ以上ないやろってくらい悲しそうなのがまた。

さらにカサノヴァが脱獄したことでカーニヴァルに行けなくなっちゃった時もその音楽が流れるんですよね。もうどんだけショックなの!!

 

でもそこに負けず、「1日部屋から出ちゃだめなら出てもバレない」というお前それ天才かよという発想をするところが強い。さすが猪突猛進。 

ベネツィア来た時にいきなりドピンク(あと赤)のドレスで攻めてくるところも強い。初日ではそこで笑いが起こってたんですよね…。

恋に落ちるときもいきなりで可愛い

全体的に勢いがあるベアトリーチェですが、馬車でひとしきりカサノヴァを罵倒した後にサンガルド卿に「ステキ…」と恋してしまいます。

あの時のミラーボールが突然回る演出もめっちゃ好きで、毎回一人こっそり笑います。

歌詞も好きなんですよね…「素敵な人ね(だ) よく見れば」っておもろすぎる。ちゃんと見て

 

このシーンではベアトリーチェがネックレスをサンガルド卿に渡しますが、これが「邪馬台国のオマージュでは?」という説もありますよね。

まあ私も初見「邪馬台国かよ!」と思いましたけど

でもこういう自分のものを渡して「返してください」って言うのは結局女性からのお誘いというか「また会いたいです」っていう気持ちを慎ましやかに表したものだと思っているので、オマージュではないんちゃうか…と個人的には思っています。

 

結婚するのしないの!のやり取りも大好きすぎる。ふたりとも可愛い。

母性を感じさせる2幕

この作品に関して、様々な場所でゆきちゃんは「ベアトリーチェは好奇心が旺盛で猪突猛進だけど、最終的には母性を感じさせられるようにしたい」と言っていて、生田先生からの母性を最後には出せるようにという指示もありました。

 

1幕と2幕で大きくベアトリーチェの性格が変わるというわけではありませんが、 自身の叔父を人質に取られた彼女は、自分の意志を曲げてコンスタンティーノと結婚する道を選ぶ決断をします。

その際にカサノヴァに渡した手紙の内容、それが私の中ではいちばん母性を感じさせる部分です。

 

あれだけ反発していたカサノヴァが語る「自由」を認めて受け入れ、彼だけでなく彼の思想までを受け入れるという心の広さといいますか、まさに包み込むような愛を見せてくれた彼女。

それがゆきちゃん自身が持つしなやかな強さや母性と噛み合い、自分の中でとてもぐっとくるシーンになっています。

ダニエラとの姉妹のような関係もほんと好き

ベアトリーチェと侍女ダニエラはほとんどのシーンで同席しており、その関係も主従だけではなく姉妹のような、とても微笑ましいものになっています。

ダニエラもベアトリーチェのように猪突猛進なところがあるキャラクターですが、ベアトリーチェにはかなわない(押し切られちゃう)のがまた可愛くて。

 

ゆきちゃんがソロで歌うシーンの前のダニエラとの会話は本当に二人のステキな関係を表しているようで…こちらもぐっときてしまうシーンです。

ゆきちゃんの娘役魂を感じさせるアクセサリー

そして忘れてはいけないのが、アクセサリー。

ゆきちゃんは1幕ラストから2幕にかけて、赤いドレスを着用する時間(機会)が非常に多いですが、出てくる度にアクセサリーが変わっているんですよね

1幕ラストはダイヤのようなストーン系のネックレスを。

2幕、ソロで歌うシーンの時は外側は黒系、中がダイヤっぽいストーンのネックレスとストーン系のブレスレットを。 
ネックレスの紐は黒系でした、確か。

そこからすぐにまた出番がありますが、その時はブレスレットは外し、ラインストーンのような長いネックレスを(背中側にラリエットのように下がっていてそれがまた美しいですよね)。

そしてオペラが上演されるタイミングでは、パール系のネックレスを…。背中側にかかる紐は赤です。

こういった、誰が見ているかわからないけれど「誰かが見ているかもしれない」という高い意識と、「同じアクセサリーはつけたくない」というゆきちゃん自身の信念、娘役魂を感じさせられてもう感服です。まさに集大成

声も表情も本当に素敵

ゆきちゃんは役としての作り込みもすごいなと毎回感じていますが、今回は最後ということもあってか、これまで以上に素敵ポイントが多すぎて大変です。

 

スチール・ポスターで着用している青のドレスの着こなしも本当にキレイですし、ゴンドラに乗るシーンの表情など…こんな素晴らしい娘役さんがトップになってくれて本当によかった!!という感謝の言葉しかありません。

カーニバルに行けずに「たいくつだわ~」って言うときはめっちゃ可愛くて、小さい頃の額田王を思い出すこともしばしば。

 

どのような場面でも所作にとても品があって、まさに宝塚の娘役として完璧と言っても過言ではないと思います。

残りの公演(ミュージック・サロンも含む)でもそうですし、退団後もどんどんキラキラ輝いてほしいなと願うばかりです。

 

…とウダウダ書いていたら5000文字を超えてしまいました。

次回は考察しがいがありまくりなコンデュルメル夫妻について書きたいなと思っております。

 

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