今回も自分解釈&感想です。
前回1つでまとめる予定だったのですが、思ったより長くなってしまいまして…。
今回は男たちではなく「女たち」に焦点を当てて、個人的に「うーん?」と思ったところを勝手に解釈していこうと思います!
とても現代的でリアリストな女性、デボラ
この作品のヒロインのデボラ(演:真彩希帆さん)は、女性から見ると結構好き嫌いが分かれるタイプかな?と勝手に思っています。
作中では一切ヌードルス(演:望海風斗さん)とくっつくこともないまま、別の男性と関係を持つというのはなかなか宝塚のヒロインとしては異色のヒロインだなあと思っています。
愛よりも夢を選ぶが…
とはいえ、デボラも平坦な道ではありません。
出所したヌードルスと再会し、くすぶっていた初恋の気持ちがまた戻りますが(もしかしたらこの時は真摯にヌードルスのことを想っていたかもしれませんが)、ハリウッド女優になる夢を諦められず、敏腕プロデューサーであるサム(演:煌羽レオさん)と共にあろうとします。
その後二人はまことしやかに恋人同士で結婚間近では?と噂されますが、新人女優のベティー(演:星南のぞみさん)に横からかっさらわれ、独立する道を歩むことに。
ハリウッドの「皇帝」の妻、皇后となるはずがその道が閉ざされてしまいます。
ちょっと余談:ヌードルスとのデート
余談ですが、ハリウッド行きを決める前、デボラはヌードルスと約束を取り付け、海辺のレストランで過ごします。このシーン大好きです!
このシーン大好きです…が、それ故に非常に切なさもあって。
デボラとしては多分、自分の初恋にケリをつけにいくような気持ちだと思うんですよね。「恋愛も大事だけど、私は夢を追いたい!」という。
だから、ヌードルスにティアラをもらったときに「そこまで想ってくれているなんて知らなかった」という言い方になっちゃってるのかな、なんて。
ヌードルスは長い刑務所時代、心の支えになっていたのはデボラしかなくて(多少はマックスとかもあったでしょうけど)、多分めっちゃ恋心に対してピュアなままなんだろうなって解釈しています。
だけどデボラはその間にブロードウェイで活躍しているわけですから、恋に対してちょっと冷めた目で見ていた部分もあるんじゃないかなと(関係を迫られるようなこともあったでしょうし)。
それに対してヌードルスがえらい直情的に来ちゃうもんだから、あんな感じになっちゃったのかなって…。
そんな感じで、どうしても1幕ラストは「かっこいい…」というより「可哀想に…」という気持ちで見てしまいます。あとバラをばっさーできるの楽しそうやな、とか。
25年振りのヌードルスとの再会と現在
時代は1958年に戻り、ベイリー財団が運営するサナトリウムにいるキャロルを訪ねたヌードルスと、元ハリウッド女優として、今は慈善活動に従事しているデボラが再会します。
ヌードルスが多少カマかけというか詰問しますが、その時点で完全に彼はベイリー長官の正体に気づいているだろうなという感じはしますね。
マックス(演:彩風咲奈さん)はデボラと財界のパーティーで再会し、全てを話して受け入れてもらい関係を持ったことを話しますが、このへんちょっとモヤる人もいそうですよね。私がモヤったんですけど。
ヌードルスはあかくんてマックスはええんかい!的な。
とはいえ、今のマックスは陽のあたる道を進んでいる人ですから、デボラ的には最低限の条件をクリアしていたと言えるのでしょう。
ただ、ヌードルスが陽のあたる道を仮に歩んでいたら、デボラと結ばれていたのかな…?と思うと、全くそう思えないのが辛いところなのですが。
このへんはメタ的な見立てをしてしまうと、ヌードルスが手に入れられなかったものを持っているマックスとして強く対比させたかったからこそ、デボラとマックスをくっつけたのかな…と邪推してしまいます。
また余談:ニックという存在
ただ、デボラには非常に素晴らしい存在がいつも近くにいたと思っています。
それがニック(演:綾凰華さん)。
バレエ教室時代からの幼馴染で、音楽家としても成功しています。
さらにデボラに対して下手に色気を出すこともなく、ビジネスパートナーとして距離を保って、でもきっちりと彼女を支えている。神では?
…というわけで、私が一番この作品で好きなキャラクターはニックだったりします。
ニックには幸せになってほしいなあ。デボラが引退した後も音楽家として曲を作っているといいなあ。
一途故に崩れてしまった女性、キャロル
もうひとりのヒロイン、キャロル(演:朝美絢さん)にも、やはり触れておきたいところ。
彼女はマックスの恋人としてヌードルスたちとも長い時間を過ごします。
マフィアとしての仕事を理解はしているものの、やはり危ないことには首を突っ込んでほしくない。
そのため、マックスに度々手を上げられるなどちょっとかわいそうな女性でもあります。
劇中、マックスのことを皮肉ったような歌詞の曲を歌い、かつ「私は巻き込まれるのはごめんだわ」とちょっと薄情といいますか、要領の良さを見せる…そのような女性として振る舞う部分もありつつ、銀行襲撃時の事故のショックにより記憶を失うことに。
きっと、彼女の中でマックスは非常に大きな存在であり、棺にすがりついて泣いてしまうタイプの女性なんだろうなと思います。
密告をなぜヌードルスに任せたのか
私は初見時、キャロルがヌードルスに対して「あなたが密告してよ」というのがとても引っかかって。
別に誰が密告したって一緒だから(人に頼まずに)おめーがやれよ!と思っていたんです。
ですが仮にヌードルスに無断で密告すると4人もろとも捕まってしまうし、さらにヌードルスは長い刑期になってしまうので、自分が勝手にやるのははばかられたのかな、なんて。
ヌードルスに決めてほしい(決断してほしい)から選択を任せたのかな…とも思いつつ、やっぱりちょっと腑に落ちない部分ではありますね。ありますね!
どちらのヒロインも非常に難しい…
正直、デボラとキャロル、どちらも非常に難しいヒロインだと思います。
ユダヤ人という背景からもスターダムを上り詰めなければならないと考えていたデボラと、愛する人のそばにいられたらよかったものの、その相手がワルだったので心配で仕方なかったキャロル。
二人それぞれの結末は幸せといえたのか、それはわかりませんが…。
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