【宙組】多くの犠牲を払う青春群像劇だと感じた「群盗」(梅田DC・2019.02.14)全体の感想【ネタバレあり】

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宙組公演「群盗」感想その1

▲反射がキツくて美しく写せませんでした…

昨日はバレンタインデーでしたね!
もっぱら近年は自分たちのためだけにこの時期に来てくれるチョコを買って食べています。

個人的にオススメなのが「ブリュイエール」というベルギーのお店のチョコです。
ヘーゼルナッツのプラリネがとても美味しくて、京都にはこの時期しか売られないため、毎年絶対に買うお店です。

…とまあ、チョコレート談義はさておき。

バレンタインデーに宙組、芹香斗亜さん主演の「群盗」を観劇してまいりました。

現在大劇場にて花組公演があるため、観劇出来るのはこの1回だけなのですが、楽しんできましたよ!

バリバリゴリゴリのネタバレを入れつつ、全体的な感想を書いていきたいと思います。

東京で観るからネタバレはちょっと…!」という方はご注意ください。

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    小柳奈穂子先生からのメッセージ

    観劇する前にプログラムだけ買っておいたため、「プログラム(と歌劇)で予習しとこ!」と 読んだのですが、そこに記載されている今回の演出家、小柳奈穂子先生のメッセージ。

    ざっくりしたニュアンスですが、「インスタンスで機能的な感想が出るような作品ではないものを題材にしたこと」「今回出演する組子たちが後々にこの作品をやっておいてよかったと振り返ることが出来るようにしたいと思っていること」が書かれていました。

    前者についてはもちろんそのような機能的な作品を否定されているわけではなく、そのような作品が溢れている中であえて今回の作品を選んだことを語っておられて、「こりゃ観る方もしっかりと観ないとイカンな」と思っていました。

    確かに「泣けた」「笑った」というシンプルな感想はメッセージがダイレクトに届いているのでしょうし成功だと言えますが、その作品を観て自分の中にあるものと改めて対話したり、「自分だったらどのような行動を取っただろうか?」と改めて考えさせられるものも芸術の大切な役目だと私は思います。

    そういう意思を持って今回この作品を観るべきなんだろうな…とめちゃくちゃ頭でっかちスタイルで観劇に臨んだわけです。

     

    また、群盗というお話に全くピンと来なくて、天下のWikipedia様にてあらすじを読み「うーん、めっちゃ悲劇!」ということを知り。

    悲劇は嫌いではないので(オイディプス王とかめっちゃ好き)いいのですが、宝塚ですしオチはもしかしたら変えるのかな?どうなのかな?という期待もありました。

     

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    お話はわかりやすく、そう悲劇でもない…?

    結論から言ってしまいますが、お話は非常にわかりやすかったですし、そう悲劇とは感じませんでした。

    私の中ではメインテーマの爽やかさの影響が強いと思っていますが(あの曲かっこよくて好きです)、ストーリーの流れや起きている事象自体は非常に悲惨な部分も多いものの、メインが群盗という学生たちなためどこか「青春群像劇」として観てしまった、観てしまえた部分があるからだと思います。

    主人公カールに起こった話を羅列すると

    1. 大学に行って啓蒙主義を学ぶ
    2. 遊んでいることを後見人(ここまで立場強くないか)に叱られる
    3. お父さんに勘当される
    4. 悪い弁護士から金を奪う、そしてばらまく
    5. 知らない間に弟と叔父に領地を乗っ取られてる
    6. しかもおとん死んでる知らせも入る
    7. アマーリア(幼馴染)と再会するもフランツ(弟)との結婚が決まっている
    8. 仲間のリーベに内通されて兵士が来る
    9. 兵士殺しちゃう
    10. おとんが叔父さんに殺される
    11. 弟も死ぬ
    12. 叔父さんうっかり殺しちゃう
    13. アマーリアに殺してと言われる
    14. アマーリアも殺しちゃう
    15. 処刑されちゃう

    なんて波乱に満ちた人生なんだ…!!

    本当にこう羅列すると(カールにとって)ロクな話じゃないなあと思うんですけれど、半分くらいはカールの預かり知らぬところで起こった部分もありますし…うん…。

    こんだけ雑にまとめても悲劇なんですけどね。本当に。

     

    他にも理由をうんうん考えているのですが、最後にみんなが白い衣装で「自由」や「平等」を獲得するための運動をしている?思想を広める?ような演出があり。

    その中心に立つカールが、自身の群盗という活動でその礎を作ったのかな?と思わせる「希望」が提示されたからこそ「そんなに悲劇じゃないなあ」と思ったのかもしれません。

     

    「まあ仕方ないよね」と思える部分もあったり

    とはいえ、お話の展開は、「いうても仕方ないよね」と思える部分もあるんですよね。

    群盗として頑張っていくカール達ですが、最後仲間を逃し自分(カール)は留まるところで「ほころびた剣に鉄をくっつけるように直すのでは意味がない」みたいな事を言っていたのですが…

    「歌劇」や他のインタビューなどでも「盗んだバイクで走り出すような話」と比喩されていたこの作品。

    若さ故の過ち、若さ故に自分たちは万能でなんでも出来ると思った、それは間違ってはいないことなのでしょうが、落とし前もつけないといけないよね、みたいな。

    いくら義賊であっても人を殺すこと自体は罪ですし、裁きを受けるべき。

    人は挫折をして成長するとよく言われますし、壁にぶち当たることでそれを乗り越えるべく成長するものだと思います。

    カールは親から勘当されることによって心の挫折を味わい、群盗となることで別の形での彼と世界との繋がり方、あり方を模索した。

    そして最後、自分の土地へ戻ってきたこと、そこで起きた出来事を受け成長しあの結論に至った…という、非常に犠牲が大きい成長物語とも言えると思います

     

    アマーリアの最後の選択

    アマーリアは最後、恋人であるカールに「自分を殺して」と願います。

    これは原作の筋書き通りの展開なのですが…元の戯曲を読んでいないのであーだこーだ言うのは野暮なのですが、「なんで殺してほしいんだろう?」とずっと疑問です。今も疑問。

     

    ちなみに元となる戯曲では「群盗は結婚してはいけない」という決めごとがあるようで、既に貴族ではなく群盗となったカールと結婚出来ないために自分を殺して、とお願いするようです。それも意味わからんのやけど

    今回の宝塚バージョンでは、その事については触れられていないんですよね…。なので別の理由だと勝手に考えています。

    この領土を守っていたモール伯爵(マクシミリアンさんでしたっけ)も死に、息子のフランツも死にました。
    そして身内である叔父は多少事故っぽいところもありますがカールに殺されてしまいました。

    愛するカールは大罪人となり、仮に捕まったとしたら処刑されるでしょうし、捕まらないとしてもこの領地に留まることも出来ないでしょう。

    この世で愛する人と一緒にいることが出来ないのであれば、彼を見守る星になりたい…という気持ちで「私を殺して」と言ったのかなあ…とも思うのですが、なんだかなあ…。やっぱり悲劇なのねえ…。

     

    宙組さんの将来性の高さを感じられた

    この公演はかなり若手の組子さんが出演していて、上級生は大変だろうなあと勝手に思っていたのですが、皆さん本当に頑張ってらして素晴らしかったです。

    群盗メンバーとして選出された方々はもちろん。

    短時間で衣装を着替え、様々な役をされていた最下級生たちも本当に頑張っていたと思います。

    そして出番やセリフがある、自分を観てもらう機会があるというのはきっと舞台人としてめっちゃ成長出来るチャンスなのだと思います。

    決して多くはないメンバーですが、皆さんとってもキラキラと輝いていて「宙組さんの将来はすごいことになりそうだなあ」とほっこりさせていただきました。

    また、キャスト別の感想で色々かければいいなあと思っております。 

     

     

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