先日花組さんの「アウグストゥス-尊厳ある者- / Cool Beast!!」を観劇してきました。
コロナによる公演中止時期もあり、れいちゃん(柚香光さん)大劇場ようやく2作目。
さらに今回は、トップ娘役である華ちゃん(華優希さん)と2番手男役スターであるあきらくん(瀬戸かずやさん)の退団公演にもなっています。
お芝居自体は楽しめました。
が、
「これが本当のお披露目公演の演目だったのでは……?」と観ながら思ってしまうレベルの内容だったなと感じました。
オクタヴィウスがれいちゃんに重なる
思いがけない若さで、突然英雄カエサルからすべての政権を委ねられることになったオクタヴィウス(アウグストゥス)。
若く智慧も心もある青年ですが、周りの陰謀や重圧に心が負けてしまいそうになることも……。
そんなオクタヴィウスがローマの民のために立派な王になろうともがいていく姿は、同じく若くしてトップスターになったれいちゃんの姿と非常にリンクします。
演出の田渕先生がわざとそう描いたのではないかと思うほど。
アグリッパとマエケナスの存在
オクタヴィウスを支えるのが水美舞斗さん演じるアグリッパと、聖乃あすかさん演じるマエケナスの存在。
このお二人は史実上オクタヴィウスの右腕・左腕だったようで、そこにこの配置か~!っていう。
マイティー(水美舞斗さん)はもちろんのこと、左腕の役にほのかちゃん(聖乃あすかさん)を持ってくるのか……なるほど……みたいな。
今後の花組の柱はこんな感じなのかしら、と思わず考えてしまいますね。

どこを向いても顔がいい。
敵役の描き方が丁寧なところ、好き。
今回のお話ではオクタヴィウスの敵役といえる人物が二人出てきます。
一人は、自身がカエサルの後継者であると信じて疑わなかった、瀬戸かずやさん演じるアントニウス。
もうひとりは、これまた自身もカエサルに愛されている・信頼されていると思っていた永久輝せあさん演じるブルートゥス。
私が勝手に思うに、田渕くんは敵役の描き方も丁寧だなと思っていまして、きちんと「こういう理由があるからこうしてます」ってのがわかりやすいところが好きです。
特に今回は歴史ものですし、ブルートゥス、アントニウスは背景がしっかり描かれないと説得力がないですしね。
エジプト勢すき。
エジプト勢はキャラがよくて超好きです。
カチャちゃん(凪七瑠海さん)のクレオパトラよすぎでしょ。
ソロの時の立ち方、あれは先生から指導が入っているのかなとも思いますがめっちゃ男役の立ち方で笑う。
ポンペイアの切ないソロの後に突然のディスコ感出てきて、あそこいいですね……好き。
従者のシャーミアン(冴月瑠那さん)が特によきです。るなちゃんが好きなだけなんですけど。
しぃちゃん(和海しょうさん)のアポロドラスもいいキャラでしたね。恋に溺れたクレオパトラを諭し、冷静に局面を見れた人。ああいう部下がいるなんて羨ましい……!!
ローマが落ち着いた色合いなのに対して、エジプトのシーンは全体的に華やかで、対比が面白かったです。
アントニウスの鎧も豪華で、思わず「王家に捧ぐ歌」思い出したりしますよね。しません?

クレオパトラ自害で「マジ!?」とびっくりしたんですが、史実なんですね……恋に溺れるイメージがなかったので、意外でした
ブルートゥスはちょっと切ないね
ブルートゥスの描き方はちょっと史実とは違う(簡略化)みたいですね(Wiki先生情報)。
とはいえカエサルに非常に寵愛されていたのは事実なようで、それだけパパ?になついていたら、裏切られたように思えてしまうのは仕方ないかな……と思います。
それで暗殺しちゃうのはどうなのって感じですけど、丸め込まれてやっちゃった?みたいですし……。
前半で出番が終わっちゃうのかなと思ったのですが、怨念?怨霊?となって結構出番がありましたね!
華ちゃんはお姉さん……??
ほんのり思っていることなのですが、華ちゃんはれいちゃんに対しては「お姉さん」でいてほしいと思う演出家の方が多いのでしょうか?
まあ確かに華ちゃんは年齢的にお姉さんで入団していますが……。
今回のポンペイアもれいちゃんに寄り添うというよりは彼女を導くような立ち位置でしたよね。
まさかのデュエット曲が1つしかないのは、正直(華ちゃんサヨナラを加味した上で)どうなの?と思わなくはないですが……。

トップコンビだからデュエットしろ!っていうわけじゃないですけどね
恋愛要素も少なくて、共に歩いていく感じのまさに「友」な作り方だったので、えらくあっさりした関係の描き方でしたね。
個人的にこういった関係は好みなのですが、華ちゃんサヨナラの割に……こう……あっさりやなって……。
ポンペイア自体が架空の存在だからかもしれませんが。
架空の存在と言えば、実は亡くなっていたという展開はうまい!と思いました。
海戦のシーンでポンペイアが出てきて、ブルートゥスたちを操っていることから命はないのかな……とは思っていましたが、生贄にでもなったのかと思ってました(ローマへの偏見)。
でも実は自殺していて、それの罪滅ぼしとして留まっていたとは……予想外!でもこういう設定好きです。
最初はれいちゃんとくっつくのかしら?と安易に思っていたのですが、そうではなかったですねぇ。
演出についてうだうだと。
演出は田渕大輔先生。先生は歴史もの好きなんですかね……?(前作はダヴィンチだったし)
田渕くんと言えばやっぱり「Victorian Jazz」だと5千年前から言っているんですが、ああいう系統のもう作ってくれないのかな……。
基本的に照明暗い問題
田渕くん演出の大劇場作品、照明暗めのものが多くないですか?
「異人たちのルネサンス」もそうだった記憶があります。むしろ記事書いてました(【宙組】異人たちのルネサンス(宝塚) 感想その1(全体的なことについて)【ネタバレあり】)。
今回も!!暗い!!気がする!
照明ビッカビカにしろとはいいませんが、あんまり暗くされると……
いうて他の先生方とそんなに変わらないのかもしれませんが、なんか田渕くんのは暗く感じてしまうんですよね。なぜだろう。
「神々」だったのアレ。
人が憎しみを持ったときに現れる、なんとも不穏な見た目の集団。
観劇された方であればふんわり思い出せるかと思いますが、あれって配役的には「神々」なんですね。え、どこの神……?
冥府の神ハデスに近いものたちなのかなあ。
イメージとしては「エリザベート」の黒天使ですよね。ガラコンがあったからつい近い視点で探してしまいます……いかんいかん。
神々の皆様は感情の演出に一役も二役も買っていて、「ああ、このひとの心に憎しみが生まれてしまったのだな」と視覚的に表現できていいな~!と思いました。
ただ、お化粧が一定なのでどなたがどこにいるのかしら……と判別しづらかったのが残念。
はなこちゃん(一之瀬航季さん)はすぐわかったのですが、美羽愛ちゃんやらわからなかったなあ。精進せねば。

そもそも彼らを「神々」として認識してなかったよ……
お話自体は好み。でもやっぱこれお披露目でやってほしかった。
お話自体は史実に沿っていて面白く、エジプトの華やかなセット・お衣装も魅力的でした。
オクタヴィウスがアウグストゥスとして生きようとする姿が、れいちゃんが花組のトップスターとして生きようとする姿に重なり、涙されたファンの方もいるのではないか……と思うほど。
ラスト、上手の花道から出てきた、白いお衣装に身を包んだれいちゃんはとても美しかったです。
ただ、これやっぱりお披露目公演でやるべきでしょ……?
「はいからさんが通る」の再演が悪いとは言わないですが、私は一発目こそオリジナルでやってほしかったですし、再演であっても期間があいたものや海外ミュージカルならまあ……って感じでしたので、「これをお披露目公演として見れていたらなあ」という気持ちが正直強いです。
不器用だけど実直で、弱さを出せるトップスターとして生きていきます!っていいじゃないですか。素敵じゃないですか……。

演目の順番って、個人的に気になっちゃう…
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