前回の記事(水兵さん編)に続きまして、今度はヒロイン4人のキャスト別感想を書いていきます。
今回の梅田Verでは役替りがあり、ゲイビーの相手役であるアイヴィを除いた3人、ヒルディ・クレア・ルーシーを2人の娘役と1人の男役で担っています。
その比較も合わせて書きたいと思っております!非常に今から長くなりそうな予感がしています…
アイヴィ(美園さくらさん)
主演のたまきち(珠城りょうさん)演じる水兵、ゲイビーが地下鉄でポスターを見て一目惚れする、キュートなミス・サブウェイの彼女。
ミス・サブウェイといっても華やかな世界とは縁遠く、頑張ってバイトをしながらレッスンを受けて女優になるという夢を叶えようとしている、なんとも等身大の可愛いキャラクターです。
しかし、出番が少ない!
そもそもこのお話自体が「ゲイビーは彼女(アイヴィ)に会えるのか?」が軸となっているため、オジーやチップと一緒にいる他ヒロインに比べると「あんまり出てないよね…」という印象になってしまいます。
自身が主役となるミュージカルナンバーは多いですし、一度出てくるとその時間は長い、といった部分はあるのですが…。
なので、短い時間で印象づけるキャラクターづくり・表現を求められる役だったのではないかと思います。
それが出来ていたかと言われると、出来ていた!と思います。
1幕ではゲイビーの妄想…は言い過ぎですが、イメージのアイヴィとして出てきて可憐なダンスを見せてくれますし、また、マダム・ディリーとのコメディ要素が強い場面では三点倒立をしたりと、まさに体を張っています。
(あれ、倒立から戻った時にすぐ声がキレイに出るのほんとすごいなって思います)
声も高めだけどキンキンしてなくて聞き取りやすいですし、歌やダンスももちろんしっかりしていました。
等身大で活発な女の子が似合うと思うので、次の本公演では期待しています!女優さんの役だけど、結構キツそうなんで(キツい女好き)。
あとは、足が本当にキレイでいいですね!いいですね!
私のイチオシ足だった仙名彩世さんが退団されたこともあり、さくらちゃんにはこれから沢山足を出していただきたく…。
今回さくらちゃんはクラブで踊っている衣装であったり、練習着のショートパンツであったりとかなり足を出しているのですが、いやらしくなく健康的でかつ美しい!
今後ともぜひ足をお願いいたします。
ヒルディ(白雪さち花さん・夢奈瑠音さん)
暁千星さん演じるチップとイイ感じになるタクシードライバーのヒルディ。
もちろんどちらも良かったです!
演じている方ごとに感想を書いていきます!
白雪さち花さんのヒルディ
東京で演じられていることもあり、貫禄!ですね。
とはいえ強いところだけではなくて、きちんと女性としての芯といいますか、しなやかな面もあります。
チップを包んであげる大人の女、という印象を受けました。
最初アパートにつれていく時も、強引ではあるんですけどちょっと甘えるような、女性としての武器を使っているような感じ。
あとは今更言うことでもないですが、本当に声がキレイで歌がお上手で。でもハリがあって。改めて素晴らしい娘役さんだなと思います。
夢奈瑠音さんのヒルディ
さちか姉さんのヒルディが年上のお姉さんであれば、るねちゃんのヒルディは同世代、という印象。
男役なのもあって力強く、女の武器を使うってよりは下町のはねっかえり娘!みたいな快活さがあります。
チップとのテンポも、さちか姉さんの時だとちょっとヒルディのところでゆっくり目になるところが、るねちゃんだと同じテンポでポンポンポン!と行くような…わかりづらいですね…。
さちか姉さんがゼミの先輩だとしたら、るねちゃんはサークルの同級生みたいな。もっと謎なたとえですね。
クレア同様ですが、るねちゃんは歌も高音がキレイに出ていてすごい!と思いました。ダンサーさんなのは知っていましたが、歌もここまでしっかりしているとは!と。
やはりかなり高い部分は多少苦戦しているかな?という部分もありましたが、私が観たのは役替り初日だったので、今はもっと馴染んでいることでしょう。
素晴らしい中堅男役に成長されたな…と感じました。
クレア(夢奈瑠音さん・海乃美月さん)
鳳月杏さん演じるオジーとイイ感じになる、人類学者のクレア。
彼女には婚約者がいますが、オジーとの恋愛を楽しみます。
平たく言えば結構厚かましい女性なのですが(笑)、そこをどれだけキュートに演じられるかがキモ、という感じですね。ミーマイのジャッキー的なキャラクターだと感じました。
この役は演じている二人で結構印象が違いましたね。
夢奈瑠音さんのクレア
るねちゃんのクレアは、婚約者に対して「わかっててそうしている」感じが出ています。ほんまジャッキー的な。
「私がこうしても、あなたはわかってくれるでしょ?」
これがるねちゃんのクレアの芯かなと私は感じました。相手が理解してくれることを自身でも理解していて、その上で手のひらの上で相手をうまく使っている。
…となると悪女とも言えるのですが、そう感じさせない愛らしさ、キュートさを併せ持っているのがこのクレア。
2幕の婚約者、ピットキン(英真なおきさん)との会話は本当に面白いです。
海乃美月さんのクレア
るねちゃんのクレアに対して、くらげちゃんのクレアは「天然魔性の女」。
くらげちゃんのクレアは本当に、本当にピットキンに対して悪気がない。なさすぎる。私がかわいそうだとおもうほどに。
「そうしてくれるのが当たり前でしょ?私なにかおかしいかしら?」
そんな声が聞こえてくるかのような、自然な振る舞い。
天然なのでどうとも出来ない、だけどつい従っちゃう…!!そのような抗いがたい魅力があります。
くらげちゃんは前回の本公演でショーおやすみだったので、今回久々にしっかりお歌やダンスも観られて嬉しかったです。
次作では旦那様となるちなつちゃん(鳳月杏さん)との並びも美しくて○×5000!
ルーシー(海乃美月さん・白雪さち花さん)
出番こそ少ないものの、そのインパクトは強く、また2幕ではちょっとしたサプライズを提供してくれるキャラクターのルーシー。
どうしてもキャラ造形が濃くなるのですが、ベクトルがかなり違う役作りになっていてお芝居の深さを感じました。
海乃美月さんのルーシー
くらげちゃんのルーシーはキュートで身近。こんな子いるよね~!という感じ。
ついつい同情したくなる可愛らしさがあります。
元々がちょっと変わった子という設定なのでしょうが、声も高めで多分よく知らない方がみたらくらげちゃんってわからないんじゃ…?というくらい。
ネタバレになりますのでちょっと控えますが、2幕のサプライズ的な場面では控えめな女性らしさが出ていて、いじらしいというのでしょうか。
ああいう結末になってもおかしくないね!と納得出来る感じです。
白雪さち花さんのルーシー
声が反則。笑うわ!!
くらげちゃんのルーシーが身近な感じなのに対して、さちか姉さんのルーシーはコメディエンヌ的な役作り。笑わせに来てるやろ!!
アメリカのコメディドラマでいそう!って思わせるキャラ造形はさすがです。
くらげちゃんのルーシーが可憐・いじらしさにパラメーターを振ってるとしたら、さちか姉さんのは愛嬌に振ってる感じかな。
なので2幕のサプライズ的な場面では「この子、意外とリードするタイプなのでは…!?」と思わされました。
くらげちゃんのルーシーに比べると、したたか度は上かな?
AパターンとBパターン、どっちがいいか
役替りがあると必ず出てくる「AパターンとBパターンどっちがいいか問題」。
どちらも素晴らしいな、というのは前提で「どちらかと言えばこっちの方が好みだな」というのはやはり誰にでもあると思うのですが…
今回は本当に甲乙つけがたい!どっちも好き!どっちも違っていい!という感じで、さすが芝居の月組…と唸りますね。
個人的な回答としては「どっちも楽しめ!」です。マジで。
その価値はあります。
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