【月組】笑いと涙のバランスが絶妙。何度も観たくなる「幽霊刑事」感想2(ネタバレあり)

月組
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前回に続いて、現在バウホールで上演中の「幽霊刑事」の感想、その2です。

今回はストーリーなどのネタバレを入れつつ、こんなとこがよかった!と具体的な感想を書いていこうかなと。

今回の感想記事ざっくりまとめ!
  • 泣き所と笑いどころのバランスが絶妙
  • ラストはスッキリとして心地いい
  • 複数回観ると細やかな伏線に驚く
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泣き所と笑いどころの絶妙なバランスが○

この作品は、たまきち(珠城りょうさん)のプレ・サヨナラ公演であることから、やはりちょっと感情的になってしまう部分もあります。

ですが、それを引いても泣き所と笑いどころのバランスがうまく取れているなと感じます。

泣き所のメインは「別離」

泣き所のメインは、やはり「別離」。

この作品では様々な形で、様々な別離が描かれます。

最初の泣き所……というか、これまで2回観劇していますが、客席からのすすり泣きが一番聴こえるのが開始5分ほどの、神崎刑事のお葬式だったりします。

演者さんが泣いているのかしら……??(いや、悲しいのは悲しいのですが)

幽霊になった後、神埼は関係者のところへ赴きますが、その中で実家を訪問した時も泣けますね……。

京三紗さん演じるお母さんは、結愛かれんさん演じる娘さん(神崎刑事の妹)の前では気丈に振る舞っているのですが、一人になると息子を亡くした悲しみから泣き崩れてしまいます。

ここですでにめっちゃ泣ける……

また、恋人でありながら幽霊の姿を観ることができない、天紫珠李さん演じるすまちゃんとのやりとりも、本当に切ないです。最後まで姿も観られないし、触れられないし……。

姿が見えていても、2回別れを経験しなければいけない、鳳月杏さん演じる早川刑事のセリフも刺さります。

こういった、いずれ消えてしまう神埼の幽霊との別れを感じさせるポイントが要所要所に入っていて、く~~!!とさせられますね。

加えて、このお話の密かなキーパーソンといってもいいでしょう、白河りりさん演じる耳が不自由な少女の愛ちゃん、神埼よりも先輩の幽霊である、汝鳥伶さん演じる雲井さんの存在も涙を誘います。

愛ちゃんと雲井さんのやりとりはほっこりしますね。正直愛ちゃんが死んでしまったときはビビりましたが……

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笑いどころの中心は早川刑事。さすがのバディ感!

笑いどころの中心となるのは、神崎刑事のバディとなる早川刑事関連。

唯一、幽霊となった神崎刑事が見えてしまうため、ついうっかり話しかけてしまうことが多く、署内の人間から不審がられて精神科を受診しろと上長命令を食らってしまう始末。

また、2幕ではついにすまちゃんにその存在を明かすことになるのですが、その際も当然信じてもらえず、まさかのストーカー扱いまでされてしまいます。

見えるのが彼だから仕方がないものの、周りとの温度差が面白くてついつい笑ってしまうシーンが多く、ほっこりさせてくれます。

ラスト、真犯人の前で命乞いの舞(を振りをした、神崎刑事からすまちゃんへの手話による指示)は傑作ですね……本当に……。

もちろん、他の署内メンバーも個性的で、それぞれ笑いどころを持っているのがすごい!

個人的にはすでに死んでしまった経堂課長(光月るうさん)が再現Vのためにちょっと生き返ってまた死んじゃうところが好きです(笑)。

あとは新田刑事(紫門ゆりやさん)と保美(蘭世惠翔さん)のやりとりも……。

あそこって毎回アドリブなんですね!1回目の時は二人で美しくターンをしていて、昨日観劇した時は手を「ヤッホー!」な形にしていたので「ここ日替わりなんか!」と知りました(笑)

ちなたまの息の合い方はさすがの年数を感じさせます!お互い楽しそうにやっていてなによりなんですよ……

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ラストはスッキリとしていて心地いい感じ

作品内でも語られますが、事件が解決することでこの世への未練が解消され、魂は成仏します。

神埼刑事も真犯人が捕まることで未練がなくなり、地上にとどまることはできなくなってしまいました。

正直、気持ちとしては「幽霊になったけどなんとかならんかね」という部分もありましたが……死んでしまったけれど、それを乗り越えて前に進む力強さをくれるラストです。

とっても切ないですが、愛ちゃんがする2つの質問……。

「おまえは、幸せだったか?」と「おまえは、人を幸せにしたか?」。

これに対して笑顔で答える神崎刑事を見ると、「そうだよな、これでよかったよな……」とスッキリ、心を浄化させてくれます。

素直にありがとうと言える気持ち……大事にしたい……

さすがミステリ大作!細やかな伏線探しも楽しい

この作品はミステリなので、謎解きもしっかりと含まれています。

残念ながらまだ原作小説を読んでいないので、原作と違う部分については言及できないのですが(神埼と早川は同期ではないらしいですね、というくらいしかわかりません)、ミステリ部分もしっかりと面白かったですよ!

犯人が誰かを探していく道筋が非常に丁寧で、しっかりと伏線が張られているので納得度が高く「あ~!なるほど!」や「あ~!たしかに!」なポイントがたくさんです。

初見の観劇で「なるほど!」と知った部分を2回目にしっかり観てみると「確かにそう言ってる!そうなってる!」と納得できてめっちゃくちゃ楽しいです。

ネタバレしてももう1回観たくなる、個人的に上質なミステリでした。

有栖川有栖先生はお名前だけ存じていたのですが、しっかり読んでみようかな……

ヒントが実はボロボロあったな……って感じる

本当に何気ないことでも、実はヒントがボロボロあったんだな……っと感じさせるつくりが巧妙でした。

真犯人の毬村主任(輝月ゆうまさん)についても、婦警さんたちが署内のメンバーについて歌う歌詞の中に「モノマネが得意」と含まれていたり、スティックシュガーをくすねていたり。

副署長に「いいことあったんですか?今日はおきれいですね」って言ったのも、盗聴器の早川の会話を聴いたからカマかけてたのかな?とか思ったり……。

細かく見ていくと全部つながっていそうで、ちょっとワクワクしてしまいますね。

佐山刑事はミスリードキャラだったのかな

個人的に気になるのが佐山刑事。

最初からすまちゃんを少々疑っているそぶりを見せていた彼ですが、2幕後半で急に彼女を犯人だと言い出し、改造銃まで突きつけることに。

改造銃というアイテムがないと事件の解決が難しいので彼を場に出してきたのかな?というのは想像できますが、このへんは原作と違うんですかね……(尺のためにちょっとアホ系にされたとか)。

やはり原作を読まないとわからないことも多そうだな……

テンポもバランスもよく、何度も観たくなる作品!

ここまでだらっと書いてきましたが、幽霊刑事はミステリという点から観ても、ヒューマンドラマという点から観てもテンポとバランスがよく、観終わった後に「また観たいな~!」と思わせてくれる作品でした。

また、バウ公演という点から舞台が近く、より身近に皆さんを感じられるのもいいところですね。

終演後のひとことご挨拶も嬉しいポイントです。恒例となっているたまきちの「見えてますかー?」もかわいいんですよねえ。

昨日の観劇では普段より笑いが多かったようで、そう言われてました(笑)。

確かにまさかの副署長が襲撃にあった後にも笑いが起きてたしな……!!

めっちゃボロボロになってるけどタバコ吸ってて余裕感あるから、つい笑っちゃう気持ちはよくわかります…

そんなわけで、楽しく観劇できた作品でした。バウはやっぱりいいな~。

 

 

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